KWNB624

二次小説置き場。ブログタイトルから連想できる方のみどうぞ

カワノベ

走れ卑怯者

矢野×阿部/大学生設定 矢野と阿部との仲がぎくしゃくしだしたのは最近になってからだが、決定的な何かがあったわけではないだけにお互いが何だかおかしな空気に対して言及することも出来ず、 だがどう考えても以前のように自然なスキンシップも冗談も交わす…

甘くて苦い

矢野×阿部/ヤノカワ教師パラレル ラスト、と言う阿部の声に、三橋は最後の一球も集中して投げた。 「おっし、ちょっと休憩」 「お、おぉっ」 チームの賑やかなかけ声が校舎の向こうのグラウンドから聞こえる。野手組と別れてバッテリーメニューをこなしてい…

神様なんて信じてない

矢野×阿部/ヤノカワ教師パラレル あそこにいんのヤノジュンとカワシマじゃね? 水谷の指差した方向を野球部のメンバー全員が見る。当然阿部も見る。瓦屋根の下に設置されている自動販売機の前で、学校の時とは違う私服姿の矢野と川島が談笑していた。 「ホ…

ブレイクショット

カワノベ/ヤノカワバーテンパラレル 矢野の作るローストビーフのフィンガーサンドは阿部の大好物だった。 「いらっしゃいませ」 乾いた柔らかいドアベルの音に矢野が顔を上げる。 「遅かったな」 「バイトが長引いたんです」 頬をくっきりと赤く染めて入っ…

思わせぶりな

カワノベ/ヤノカワバーテンパラレル 「コウくん!?」 「おー、久しぶりじゃん」 「えっうそコウちゃん!?マジでー?やだなにー、めっちゃひさびさー!」 「相変わらず仲いいなー二人とも。今日も仕事?」 「うんそー」 「てかコウくん今どこで働いてんの…

雪に消えた

川島×阿部/大学生設定 キャンセルするべきだったんだろうか。二人で来るべきじゃなかった、せっかく今まで三人でのバランスを保ってきたのに。壊れてしまった、壊してしまった、俺が。自ら。 大学卒業を間近に控えた2月、近場でいいから旅行に行きたいなと…

先生!

矢野×阿部/ヤノカワ教師パラレル ホームルームが終了すると、阿部は脇目も振らず教室の出口に向かった。 「えっ、あべー?もう帰んの?」クラスメイトの水谷が声をかけても聞こえないのか無視なのか、どちらにせよ振り返ることなく廊下に出る。目指すは数学…

そんなつもりもないくせに

矢野×阿部/ヤノカワ教師パラレル 夏の大会も終わり夏休みもあと残りわずかとなった今日は、練習を16時で上がることになっていた。溜まった宿題を仕上げつつ夏休み明けすぐのテストに向けて勉強すると前々から監督にも顧問にも言われていたのだ。 「じゃーい…

はじめての

川島×阿部/川島様お誕生日話/社会人設定 阿部が川島から彼女と別れたと聞いたのは6月7日の夜のことだ。しかも9日が誕生日だから前夜祭でお祝いしてねと電話で言われて、そんなこと急に言われてもと怒りたかったが 『早くタカに逢いてー』 そんな、本当に楽…

だから酒ってやつは③

阿部にスウェットを着せてベッドに寝かせた矢野は、洗い場に脱ぎ捨てられた水浸しの阿部の服一式を洗濯機に放り込んでから簡単にシャワーを浴びた。部屋に戻った時にはもう阿部は心地良い寝息を立てていて、さっきは気づかなかったけれど足元に散らばる系統…

だから酒ってやつは②

矢野の最近のマイブームは湯船に浸かったまま歯を磨くことで、水磨きの後に仕上げとして歯磨き粉を使ってひたすら時間をかけて歯磨きをする。自宅の風呂はリフォームしたてのピカピカで、もともとの広さもあり湯船も大きい。だが現在一人暮らしのこのアパー…

だから酒ってやつは①

カワノベ/大学生設定 居酒屋を出た阿部と川島は肩を組み、酔い醒ましに歩いて帰ることにした。二人で飲むのは初めてではなかったけれど、今日は何だか異様に盛り上がって二人ともいつも以上に酒が進んだ。結果、酩酊状態でふらつきながらもお互いの服をしっ…

夏が終わる

カワノベ りん、と柔らかな音が耳に届いて、目が覚めた。 次に来ると期待した涼しい風は流れてこず、代わりに真昼の陽射しと同じ強さで鳴く蝉の声が、まどろんだ意識の中に外側から割り込もうとしてきた。 「…あっつ…」 眠っていた時は全く感じなかった湿度…