KWNB624

二次小説置き場。ブログタイトルから連想できる方のみどうぞ

すき。

 

準太×阿部/大学生設定

 

準太さんが寝てる。リビングの絨毯の上で、気持ち良さそうに寝息を立ててる。

名前を呼んでも、前髪を軽く引っ張っても起きない。

ひとつ溜息を吐いてから、準太さんの部屋のベッドから毛布を持ってきてかけてあげた。ちょっと寒いから、俺も脚だけ毛布に入って準太さんの隣に座る。

再生されたままのDVD、観客爆睡してんぞ。お笑いの風上にも置けねーな。

自分の腕を枕にしてる。本格的でないとはいえ、高校の時のメンバーで集まって作ったチームでやっぱりエースをしてるのに、腕痺れたらどうするんだろうって心配になる。

きれいな顔してるよな。

こうして上から見下ろすことってあんまりないけど、やっぱり準太さんの顔はきれいだ。

準太さんの、柔らかい髪が好き。

準太さんの、長い睫毛が好き。

準太さんの、優しいタレ目が好き。

準太さんの、つやのある唇が好き。

準太さんの、きれいな顎のラインが好き。

投げる時のフォームが好き。

俺以外の奴にはけっこう口悪いトコも、好き。

笑いのツボ入ったら結構しつこいトコも、好き。

ちょっとだけ意地悪なトコも、……すき。

準太さん。

やっぱり準太さんは起きない。

上半身も寒くなってきたから、そっと毛布を持ち上げて準太さんの隣に俺も横になった。

準太さんのまぶたがゆっくり持ち上がる。起こしちゃったかな、悪かったな、と思ってたら、隆也?ってまだ眠そうな、夢の中みたいなぼんやりした表情で名前を呼ばれた。
かわいい顔、って思いながら、ハイと小さく返事してみる。だけど準太さんはそのまま目を閉じてしまう。

そしてまたゆっくり目を開けて、焦点の合わない瞳で俺を見つめる。隆也?って、今度も同じこと訊いてきて、だから俺も、ハイ、って同じように返事した。

準太さんの寝惚けた顔をじっと見てると、なんだか毛布が浮き上がった気がして、ひんやりした空気が入ってきた。

さむ、と思うヒマもなく、今度は急にあったかくなった。と同時に目の前がふっと暗くなる。準太さんに、抱きしめられた。

ど、どうしよう。準太さん寝ぼけてる?枕か毛布と間違ってないか?だってこんな、こんな体勢、どうすればいいのか分からない。

準太さんが起きてびっくりしたらどうしよう、何くっついてんのって言われたらどうしよう、いや準太さんが引っ張ったんだけど、でも信じてくれなかったら、と目も頭もぐるぐるしてたら、準太さんの肩が僅かに震えた。

「……クッ、」

そして堪え切れず喉から押し出された声をきっかけに、準太さんの肩はますます小刻みに震え出す。

「……ちょっと」

俺が低い声で唸るように言うと、とうとう準太さんはぶはっと噴き出す。すっぽり準太さんに包まれてるから顔は見えないけど、またあの子供みたいないたずらっぽい笑顔でくつくつ笑ってるんだ。

「隆也緊張しすぎ。身体ガッチガチじゃん」

「きっ、…んちょうなんかっ、」

「してないの?これで?」

準太さんは俺の肩を抱いていた左手でスッと背中を撫でた。思わず反射的に首を竦めて身体を強ばらせた俺の反応に、してないんだ?って満足そうな声でもう一度言う。悔しいのに反論出来ない。

「離してくださいっ」

「寝込み襲ってきたの隆也じゃん」

「寝込…、お、そってません!」

別に、そんなつもりじゃなかった。ただ準太さん見てたら寒くなってきて、ちょっとだけ…くっつきたい、って思って、

「と、とにかくもう…っ」

こんなに密着してたら心臓の音聴かれてしまう、こんなバクバクいってるのバレたらまた笑われる。俺は必死で腕を突っぱねて準太さんの胸を押し返す。

「…ちょ、」

だけど準太さんは逆に俺にゆっくり覆い被さってきて、俺は身動きが取れなくなる。

「俺はてっきり、コウイウつもりかと思って期待したんだけど」

「コウイウ…って、…っ」

きれいな顔のアップに耐えられなくて目を瞑ったら、はむって唇を覆われた。

「っ…ん、」

準太さんの舌はゆっくり、優しく俺の唇を割って入り込んでくる。呼ばれてないのに名前を呼ばれてる気がして、それに応えるように口を開けば準太さんの熱い舌がいっぱいに俺の中をまさぐる。

準太さんの重みと近すぎる吐息とに頭がぼうっとするし、心臓がますます苦しくなる、けど、イヤじゃない。背中に腕を回して準太さんのニットをぎゅって握る。

「…今日、泊まっていきな」

耳元で囁く、低くて、それでいて甘い声。こんなきれいな顔でこんなかっこいい声で口説かれて、落ちない奴がいたら見てみたい。

それでもやっぱり恥ずかしくて躊躇う俺に準太さんは、なに、イヤなの?って、分かってるくせにそんなこと言う。

悔しくて憎たらしくて強く睨むと、準太さんの笑みはますます深くなるから、

「……準太さんの……」

イジワル。って言おうとしたけど、その前に俺の唇は大好きな恋人に簡単に溶かされた。

 

 

 

end