KWNB624

二次小説置き場。ブログタイトルから連想できる方のみどうぞ

君と未来の想い出を⑥

後期に入ると隆也の学部は研究の授業が始まり、学校に泊まり込むことが増えた。

研究の後はレポート、そしてまた研究と、以前和サンもそんなことを言っていたなと思い出す。必然的に、隆也が部屋に来る回数はぐっと減った。

「最近また阿部くん来ないじゃん~。準太とうとう襲いかかって嫌われたんじゃないのぉ」

微妙なことを言うヤマサンに、襲ってないッスよとは応えてもそうじゃないとも言いきれない。ていうかヤマサンが来過ぎなんだ。

 

夏休みの終わり、俺は隆也に自分の気持ちを打ち明けた。

正確には、なんかもう意図せずするっと言葉に出てしまった感じだけど、隠し通すつもりもなかったし自然な流れだったと思う。

隆也にとっては寝耳に水だったらしくかなり動揺していたけど、別に今すぐつきあいたいとか返事が欲しいってワケじゃないと俺は言った。急かすつもりは全然ない。

本当に、ただ伝えたかっただけだ。だから今までどおり、普通に仲良くしていたいと俺は言った、幾分甘いマスクを意識して。

隆也は困ったような表情で頬を赤らめながらも、小さな声でハイ、と答えた。

「おしっ。じゃあ変に意識して避けたりとかすんなよ?その方が傷つくからな、俺」

「…わかりました」

そう約束したから、後期が始まるまではわりと普通に今まで通り隆也も俺の部屋に遊びに来ていたし、周りの連中も俺が隆也に告白したことは知らないみたいだった。(知っていたら絶対あの人達のことだから俺をからかうに決まってる)

少なくとも週に三日は同じ授業で顔を合わせているし、水曜の二限終わりは今まで通り昼飯も一緒だ。

「相変わらず忙しいのか?」

「そうっスね。当分は」

定食のから揚げを口に含んでもぐもぐ咀嚼しながら隆也はそう答えた。あまり人のこと言えないが、タレた目がいつにもましてタレてる気がする。言わないけど。

「ちゃんと寝てんの?」

「交替で寝てます」

ただ授業に出るだけの俺とは全然違うんだなぁ、と思いながら背もたれに体重をかける。

今度はいつ来れそう?なんて訊ける感じじゃないなと内心溜息を吐く。と、俺の心を読み取ったのかそんなにあからさまに顔に出てしまっていたのか、隆也は

「…十一月には、落ち着くと思うんで」

と言った。長い。十一月までゆっくり会えないのか。なんだか夏休みが遠い遠い昔のことみたいに感じる。

だけどそんな女々しいこと言えるはずもないので、じゃあ、楽しみに待ってると余裕ぶった笑顔で言うしかない。

「あんま無理すんなよ」

「はい」隆也は小さくはにかんで頷いた。

十一月まで隆也が忙しいなら、俺もそれまではバイトをたくさん入れようと決めた。家にいたってヤマサンと慎吾さんにつき合わされるだけだし、冬になったらまた色々とイベントもあるし、となかなか自分でもポジティブ思考になってきていることは自覚していた。

なぜかヤマサンと慎吾さんのバースデー祝いに利央と四人で夢の国に連れて行かれて以降は、俺はバイトに勤しんだ。

十月も終わりに近づくと突然秋の気配がやってきて、朝晩はずいぶんと冷え込むようになった。去年もそうだったように、ヤマサンは勝手にクローゼットからこたつ布団を出してこたつテーブルにセットした。もうこうなるとヤドカリと化したヤマサンは、家主の俺がいようといまいとこたつから出て来なくなる。

隆也のいない約二ヶ月間は、なんだかすごく物足りなくて寂しく思えた。今年の春以前に戻っただけなのに、隆也と過ごした時間の方がずっと短いのに、ヤマサンも慎吾さんも利央も、口を開けば隆也の名前を出していた。

だからやっと十一月になって隆也の研究が一段落したと聞くと、ヤマサン達は早速今晩飲もうと提案した。あんたら昨日も飲んでただろと言いたかったが、俺もようやく隆也に会える喜びでいっぱいだったからまぁ良しとする。

慎吾さんが車を出してくれたので、夕方ヤマサンと三人で買い出しに行った。

酒をポンポンとカゴに入れているヤマサンの後ろで、以前酔っ払った隆也のことを思い出した。今日も連日の泊まり込みで疲れてるだろうから、あまり酒は飲ませないようにしよう。

 

「じゃあ阿部くん、研究お疲れ様でしたー!」

みんなで缶ビールで乾杯すると、隆也はどうも、とだけ言って照れくさそうにチューハイを飲んだ。

「やー、久々に飲む酒はうまいね」

どの口が言ってるのか、ヤマサンは何回も隆也と乾杯をする。

「もう研究は落ち着いたの?」慎吾さんが訊いた。

「ハイ、とりあえず年内は。また年明けにちょっとあるんですけど」

「大変だな」

「でも楽しいです」

隆也と和サンは似ている。和サンも、大変だけど楽しいと言っていた。やりたいことやりに大学に来るっていうのはこういうことなんだろう。

「阿部くん全然来てくれないから準太がずーっとフキゲンでさぁ」

「んなコトないッスよ」

突拍子もない嘘を吐いて、慎吾さんはにやりと笑ってこっちを見る。この人は春からずっと俺をつついて遊んでいる。俺が隆也に対する気持ちを自覚するよりずっと前から、まるで俺がそうなることを分かっていたみたいに、俺に隆也を意識させてきた。隆也のことを好きになったのは別に慎吾さんが原因ではないけど、結果的にはそういうことになるんだろうか。

それ以上は何も言い返す気にもならず慎吾さんから目を逸らしその延長で隆也に目をやると、俺を見ていたのか隆也と目が合った。

まさか慎吾さんの言葉を信じているわけでもないだろうけど、隆也はさりげなく目を下にやった。少し、頬が赤くなっているように見えた。

「あれ?誰か携帯鳴ってない?」

利央が声を上げた。「ぶるぶるいってるけどー」

俺は無関心を装って、向かいに座る隆也の様子を視界の端に捉えながらビールを飲む。隆也は、携帯を探そうとはしなかった。

「あ、俺だー!ゴメンゴメン」

利央が自分の携帯を手に取り笑いながら「なんかアラームセットしてたみたい」と言った。「人騒がせなやつ」と慎吾さんに言われ、また利央はごめんねーと言ってその話はそこで終わった。

飲み会は19時過ぎには始まって、テレビを観ながらだらだらとしょうもない話をしながら飲み続け、日が変わる頃には飲んだくれ達がこたつでいびきを掻いていた。

隆也はそれぞれの上着を持ち主にそっとかけてやり、こたつの上の空き缶や食器を集めていた。

「さんきゅ。悪いな、主役に片付けやらせて」

「いえ、俺のために準備してもらったんですから。準太さんも、ありがとうございます」

「別に礼言われるようなことしてないって。ヨシ、俺達も寝るか」

隆也はふきんを絞り終えると、そうですねと言ってから和室に目をやった。俺もつられて和室を見るが、どう考えても隆也の寝る場所はない。そりゃあそうだ、大の男が三人もこたつに脚を突っ込んで寝ていたら、いくら四面あったって四人寝られるわけがない。

隆也はちょっと考えて、ダイニングの時計に目をやった。

「終電終わってるぞ」

驚いたように隆也は俺の方に振り返る。

「そっちじゃ寝らんないだろ。…こっち来れば」

こっち、つまり俺の部屋だ。隆也は分かりやすいくらい狼狽して、え、とかでも、とか言っている。そんなにガチガチに警戒されると、ちょっと傷つくんですけど。

こういう時、慎吾さんならさらりとした口調で「大丈夫だよ、何にもしないから」なんて言うんだろうなと思いながら、でもあの人は絶対何にもしないワケないよなと思う。

俺だって緊張してないわけじゃない、だけどこれは、この状況は、どう考えたって俺の部屋しか寝る場所がないからしょうがないだろう。

「風邪ひいたらシャレんなんねーだろ」

「……、」

まだ固まってる隆也を置いて、俺は部屋のドアを開けた。無理矢理連れ込むわけにもいかないから、自分で入って来るのを待つしかない。

できるだけ意識していない風を装って、俺はとりあえず寝巻のスウェットに着替えた。

「隆也」

「はっ、はい」

ドアの外、つまりダイニングに突っ立ってる隆也にも丸めたスウェットを投げる。隆也は咄嗟に両手でそれをキャッチした。

「それ着ろよ」

「え、」

「あと、そっちの電気消して来て」

俺はそれだけ言うと、ドアは閉めずに先に部屋に入った。

これで来なかったら、気まずいことこの上ない。

でも来ないかもしれない。無理矢理こたつで寝るかもしれない。

だけど別に、俺がこうなるように仕組んだわけじゃないし、当然無理矢理襲う気だってねぇんだぞ。不可抗力ってやつじゃんか。

何だかだんだん腹が立ってきて、俺ってそんなに信用ねーのかよって考えたらちょっと、いやかなり辛くなってきて、つまり俺はヘコんだ。隆也にここまで警戒されたことがショックだった。

もし告白していなかったら、きっと隆也は素直に部屋に来ただろうと容易に想像がつく。ということは俺の告白を隆也は持て余していて、普通に接していた今までも心の中では困っていたということだろうか。

今まで通りには、もう戻れないんだろうか。

あ、ちょっと堕ちそうかも。そう思っていると、ダイニングの電気が消えた。

それから控えめにノックがして、開いたままのドアの向こうから隆也がひょこ、と顔を出した。

「…お邪魔、します」

「ドーゾ」

ぱたんと、隆也が後ろ手にドアを閉めた。

落ち着け落ち着け、心の中で何度も自分に言い聞かせ、ベッドに先に入る。俺のスウェットを着た隆也が部屋に入ってきた。まずい、これはかなり、クるものがある。

「クタクタなんですけどコレ」

若干隆也の身体よりサイズが大きい上にだらんと伸びた袖口では腕まくりも出来ないらしく、手の甲を覆い隠した袖から指だけでなんとか袖口を掴んで見せる。

「文句言うな。気に入ってんだよ」

軽口を叩く隆也に、俺もいつもの口調で言い返す。ちょっとだけ空気が柔らかくなって、多分お互いにほっとした。

それでも隆也がベッドに腰かけた時の緊張は俺にも伝わっていたし、俺自身も心臓の音がうるさく感じた。

セミダブルのパイプベッドは男の俺一人でちょうどいいくらいだから、男二人で寝るのは窮屈だ。それは二人とも分かってる。

「あ、電気…」

「リモコンある」

ヘッドボードのリモコンを手に取り、消灯のボタンを押した。部屋が真っ暗になる。俺は布団を持ち上げて、未だ座った姿勢のまま躊躇している腕を軽く引っ張った。隆也の身体が、ふわりと倒れ込んできた。

眠くなればさっさと寝られるのに、心臓が元気過ぎてちっとも眠れそうにない。

とりあえず二人とも仰向けになって天井を見上げる。俺は両手を頭の下で組み、枕は隆也に貸した。 何か話すべきか、それとも何も話さずすぐに寝るべきか。俺が先に寝てしまえば隆也も安心して眠れるのは分かってるが、そう簡単に寝られるもんでもない。

「眠い?」

「…準太さんは」

こいつ、質問に質問返ししてくるとは。ということは多分、いや絶対隆也も寝られないんだろう。

「ちょっと話すか」

寝られないなら、少し話してからでもいいか。そう思って口を開くと、「そうですね」と隆也は賛成した。

「隆也がさ、最高だと思う投手って誰?」

「三橋です」

「即答だな」

まぁ予想はしてたけど。つか、あれだけ今でもバッテリー間の愛情が溢れてるんだからそりゃ三橋が最愛だろうというのは分かるけど。

「俺はさ、俺の最高の捕手は、和サン」

「でしょうね」

これも隆也は分かりきっていることだろう。

「でさ、和サンも、俺のこと最高の投手だって言ってくれたんだ。なんかさ…当たり前なんだけど、俺には和サンが最高で、隆也には三橋が最高の相手で。それは相手も同じでって、これってすっげー幸せなことだと思わねぇ?」

「そうですね」

「もしさ、もう一度中学からやり直すとしても、俺は桐青に入って和サンと組みたいって思う。中学の二年間と、高校の二年間。和サンとは学年が違っても、それでも同じ道を選ぶと思う」

隆也は黙って聴いていた。俺が中学から、と言った時に、隆也が息を飲んだのが伝わってきた。

「隆也は、三橋と出会えて良かったな」

顔を少しだけ隆也に向けて言うと、隆也は天井をじっと見つめたまま僅かに瞼を閉じた、ように見えた。暗いからはっきりとは分からないけども。

「三橋は、本当に俺を…俺だけを、必要としてくれました」

「うん」

「俺に投げたいって、俺じゃないとダメだって言って、俺も、あいつだけの捕手になりたいって思って、三年間バッテリーでいられました」

同じだ。隆也と三橋は、俺と和サンと同じだと思う。

「良かったじゃん」

「そうですね」

「何回やり直すとしても、やっぱ三橋と組みたい?」

隆也はこくんと喉を鳴らしてから、はい、と言った。

「俺とは?」

「え?」

意外な質問だったのか、虚をつかれたように隆也は俺の顔を見た。俺は黙って隆也の顔を見つめていたけど、隆也が真面目な顔で「準太さん…」なんて呟きながらちょっと本気でシミュレーションしてるのが分かったから、可笑しくなって噴き出した。

「あっは!冗談だよ。つか現実に有り得ねぇんだし、んな悩むなって」

「準太さんから言ってきたんじゃないですか」

隆也はちょっと怒って、その勢いなのか寝返りをして身体を俺の方へ向けた。ベッドが少し軋んだ。

「じゃあさ、」

俺がもう一人の投手の顔を思い浮かべたその時、またどこかで電話の振動音がした。隆也の身体が、はっきりと硬直したのが分かった。

時刻はもう25時だ。あの時も日付が変わった後だった。

この部屋には俺の携帯しかない。隆也の携帯は和室にあるんだろう、隣の部屋からの振動がここまで響いてるんだ。

誰も出ない。全員寝入ってるから、当然起きない。起きているのは、俺と隆也だけだ。

隆也は何も言わず、ぎゅっと拳を握りしめたまま動こうとしない。

「…出なくていいの」

俺じゃないでしょう、とは言わず、隆也は無言で頷いた。自分にかかってきているのが分かってるみたいな反応だった。

こんな時間にかけてきて、隆也が自分宛だと確信していて、だったら相手はあの時と同じなんだろう。

いつも、こんな時間にかけてくるのか?どれくらいの頻度で?なんの話があって?あいつはお前の何なんだ? お前はあいつを、どう思ってるの。

訊きたいことはそれこそ山ほどある、だけど訊けない、訊きたくない。訊く権利だって、今の俺にはないだろう。

嫌いだと言って高校も別々のところを選んで隆也から関係を断ち切ったはずの相手が、どうして今尚隆也と連絡を取ろうとしてくるのかなんて俺の知ったことじゃない。

俺には全く関係がないことなんだ。俺が立ち入ることじゃない。

頭の下から手を抜き、横向いて隆也と向き合う。そのまま腕を彼の背中に回して抱き寄せた。

「…準、」

一気に身体に緊張を走らせた隆也が声を出そうとするが、咄嗟に出ないようで言葉に詰まる。

「もう寝るか」

他意はなく言ったのに、隆也は俺の胸に手をついて少し、遠慮気味に距離を作ろうとする。その僅かな警戒にちょっとムカついて、俺はわざと強く隆也を抱きしめた。

「ちょ、準太さんっ」

「何だよ。狭いから落ちないように引っぱっただけだろ」

「落ちません、大丈夫です。だ、から…」

「だから?」

もう暗闇に目が慣れたこの状況では、隆也の目線も表情もはっきりと分かる。隆也は目を泳がせて、俺の顔を見返せずに困っていた。

「…も、あっち向いてください」

「は?何で」

「恥ずかしいからです!」

隆也は俺の腕や胸をぐいぐい押して俺の身体を壁側に向けさせようとする。その必死な感じが面白くて(正直可愛いと思った)、わざと隆也の顔を覗き込むように顔を近づける。

「へぇ、恥ずかしいんだ。何で?」

「…なん、で、…って」

そこでまた返す言葉に詰まった隆也は数秒間無言でいたと思うと、突然上体を起こして俺の身体にゆっくりと跨ってきた。驚いたのは俺の方だ。

「えっ、え、ちょ、隆也?」

隆也の腕が俺の顔のすぐ横に降りてシーツを沈ませる。もう片方の腕が持ち上げられて、俺の頭上に伸びた。

無言の隆也の行動の意味が分からなくてどうしていいか分からなくて、ガラにもなく慌てかけた俺にぐっと隆也が体重をかけた途端、

「…っ眩し、」

それまで真っ暗だった部屋が一転白くなり、暗闇に慣れた目を反射的に瞑る。うっすら瞼を持ち上げてもまだ明るい光の刺激は弱まらず、暫く時間をかけてようやくゆっくりと目を開ける。と、そこにはリモコンを手に持ち昼白色のライトを背にした隆也が顔を真っ赤にして、目にはうっすら涙を浮かべながら俺を見下ろした体勢で睨みつけていた。

「隆也」

「…準太さんの」

隆也は俺を睨んだまま、静かに口を開いてこう言った。

 

いじわる。

 

そしてまたリモコンのボタンを押して、部屋は真っ暗な闇の空間に戻る。

すぐに俺の身体から降りた隆也は、乱暴に掛け布団を持ち上げるとものすごい勢いでシーツに突っ伏した。狭いベッドのスプリングで身体が跳ねた。

多分俺に背を向けて寝ている。多分、というのは、何も見えないからだ。憶測だ。

そう、隆也は部屋を明るくすることで、さっきまで暗闇にすっかり慣れていた俺の目をまた見えなくさせたんだ。

俺の視線に耐えられなくて逃げ場を失って、窮鼠猫を噛むの諺どおり俺に逆襲した。あんな顔をして、精一杯の非難の目を俺に向けて、やっと声に出た言葉が「いじわる」。

「………っ、」

思わず片手で口を覆う。暗くて良かったと安堵するほど、俺は顔が緩むのを抑えられなかった。

可笑しいとか、嬉しいとか、可愛いな、とか。色んな感情が胸の中からこみ上げる。なんていうか、愛おしい。

今、隆也の心に誰がいようと、どうしようもない。俺自身、隆也と出会った時は和サンを忘れられずにいた。

心の底にいる相手は、俺が消せるわけじゃない。隆也が自分でどうにかしないといけないことなんだ。

俺はここにいるから。お前の後ろで待ってるから。だから早く振り向けよって、頑なな後ろ姿に向かって俺は声にせずに囁いた。