KWNB624

二次小説置き場。ブログタイトルから連想できる方のみどうぞ

準太×阿部

誤算

ネクタイはあまり好きじゃない。 首周りが窮屈だし、夏はかなり暑いし、靴紐を結ぶ時も制服でキャッチボールをする時も、いちいちポケットにしまわないと邪魔だからだ。 毎日制服でネクタイを締めているから、もう目を瞑ったままでも簡単に結べる。だから準…

君と未来の想い出を⑧

朝起きて、一緒に授業に行って、どちらかの授業が終わるまでそれぞれ学校で時間を潰して一緒に帰る。 たまにヤマサンや利央達も混ざったりするけど部屋に泊まる人間は隆也しかいなくて、そんな恋人同士みたいな幸せな時間はあっという間に過ぎて行った。 期…

君と未来の想い出を⑦

半月ほど実家に帰らせていただきます、とヤマサンは畏まって言い放った。いつの間に同居してる設定になっていたんだろうか。 「なにヤマちゃん、実家から強制帰宅命令きたの?」 慎吾さんが笑いながら訊くと、ヤマサンは俺の淹れた(正確には俺に淹れさせた…

君と未来の想い出を⑥

後期に入ると隆也の学部は研究の授業が始まり、学校に泊まり込むことが増えた。 研究の後はレポート、そしてまた研究と、以前和サンもそんなことを言っていたなと思い出す。必然的に、隆也が部屋に来る回数はぐっと減った。 「最近また阿部くん来ないじゃん…

君と未来の想い出を⑤

前期が終了して夏休みに入ってからも、ヤマサンと慎吾さんは俺の部屋に来てだらだらと毎日を過ごしていた。別に親友でもなんでもない、ただの暇人達の集まりだ。 「てか最近阿部くん来てなくない?どうしちゃったんだろ」 ヤマサンが携帯を眺めながら言うと…

君と未来の想い出を④

前期のテスト明けに、慎吾さんの友人チームと試合をした。 今回は桐青メンバー+阿部という、いつもの飲み会メンバーだ。 利央と交替で俺と組んだ彼のリードは利央とは全く違う組み立て方でゾクゾクした。どちらかというと和サン寄りだが、彼はもっと綿密に…

君と未来の想い出を③

ヤマサンと慎吾さんは案の定ウチに入り浸るようになり、予想どおり和室は二人の寝床になってしまった。 慎吾さんは一人じゃ泊まらないが、ヤマサンは一人でも泊まる。何なら俺がバイトに行っている間もずっと俺の部屋でゴロゴロしていることがしょっちゅうだ…

君と未来の想い出を②

バイトのない日は授業から戻ると荷物を持って上がり、なんとか土曜までには部屋を引き払えた。 とりあえず寝室は今までと同じようにベッドとラックを置いた。こたつテーブルは隣の和室に置くことにした。みんなにはここに座ってもらうから、テレビもこっちだ…

君と未来の想い出を①

準太×阿部/大学生設定/和←準および榛←阿要素含 雨は嫌いだ。 もう二度と雨を好きになることはないと思う。 あの日から、俺の時間は止まっていた。部活から遠ざかり、復帰して、新しい捕手と新しいバッテリーを組んで新チームのエースとして生まれ変わって…

すき。

準太×阿部/大学生設定 準太さんが寝てる。リビングの絨毯の上で、気持ち良さそうに寝息を立ててる。 名前を呼んでも、前髪を軽く引っ張っても起きない。 ひとつ溜息を吐いてから、準太さんの部屋のベッドから毛布を持ってきてかけてあげた。ちょっと寒いか…

ほんとイジワル。

準太×阿部/準さんお誕生日話/大学生設定 今度の火曜日会えない?と訊かれて、思わず返す言葉を呑み込んでしまった。ちょうど、本当にたった今、阿部が言おうとしていた言葉だったからだ。 『あ、無理?』 「会えます!」 力いっぱい出してしまった声に我に…

そうだドライブ、行こう。

準太×阿部/大学生設定 聞き慣れないアナウンスに違和感を覚えて、いつの間にか眠っていたことに気がついた。次にばちっと目が開いて、勢いよく顔を上げる。いつも混んでいる車内が、なぜかガラガラだった。 「寝過ごした……よな」 高校時代の野球部のメンバ…

好きだったひと、好きなひと

準太×阿部/大学生設定 やっぱり行かない方がいいんじゃないかなんて後戻り出来ないところまで来て思うあたり、自分の優柔不断さに嫌気が差す。半年前まで恋人だった人の家で鍋、しかも今現在の恋人も一緒にだなんて、無神経にもほどがある。 「隆也、あった…

言えずのI LOVE YOU ③

「着きましたよ準太さん」 「ん~~~……」 「鍵どこですか?貸してください」 「かぎ……」 「家の鍵です。開けるから、俺に貸してください。どこにあるんですか?」 小さい子に分かりやすく説明するようにゆっくりと言葉を紡ぐ彼は幼稚園の先生みたいで、あん…

言えずのI LOVE YOU ②

「阿部くん、おいで」 慎吾さんが手招きして呼ぶと、彼は素直にこちらに歩いてきた。慎吾さんは利央のブーイングなんてまるっきり聞き流して、俺との間に座るよう彼を促す。 「お邪魔します」 「どーぞどーぞ」 「たかやー、何飲む?何でもいいよ!」 掘りご…

言えずのI LOVE YOU ①

準太→阿部(ハルアベ前提)/恋愛における理想と現実・後日談/成人設定 別に今更、どうこうなりたいワケじゃない。まず無理だろうとも思うし、あの子が俺の気持ちに気づいてないことも知ってる。 慕ってくれるだけで満足なんだ、それ以上は望んでない。あの…

恋愛における理想と現実

準太→阿部(ハルアベ前提)/成人設定 最近どお?とか 何してるかなーと思って とか なんとなく声が聴きたくなってさ とか 携帯と睨めっこしながら悶々と悩みまくった2時間半は全くもって無駄だった。相手が酩酊状態じゃ、どんな変化球も通じない。素面の時…

丼屋に行こう!

準太→阿部/社会人パラレル 毎日毎日家と会社の往復で、内勤だから仕事内容も大きく変わることはなく、本当につまらない日々を過ごしている。転勤も異動も希望しちゃいないから今の状態がベストと言えばベストなのだが、こうも毎日同じことばかりしていると…

高瀬準太という男

準さんお誕生日話・後日談 準太と阿部がまだ一線を超えていないであろうことは、部内の全員が予想していた。 今まで彼女がいた時の準太の様子も見てきただけにその予想は確信に近い。この時期の高校生男子にとっては付き合うイコールヤッたヤらないの好奇の…

高瀬準太の欲しいもの⑤

準太までが利央と慎吾と同じことを言う。阿部はまたムッとした顔をしたが、あの二人とは違う状況にふと思い当たる。 「目の…まえ」 「うんそう。目の前」 利央と慎吾が言った「目の前」、あの時はそれぞれパフェとフライドチキンがあった。だが今準太と阿部…

高瀬準太の欲しいもの④

ケーキは普通に美味かった。 チキンも平らげてパフェは阿部と半分こして、片付けを終えると二人はリビングで寛いだ。 阿部がソファに腰掛けて準太はソファを背もたれに絨毯の上に座る。穏やかな恋人同士の時間を過ごしながら、だがやはり本格的に夜が近づい…

高瀬準太の欲しいもの③

目の前に用意されたチョコレートパフェとケンタッキーのチキンを準太は無言で見遣った。 「…あー、えっ、と…」 これは、食えってことだよな、と思いながら、でも何故この組み合わせなのかという疑問をはたして阿部に投げかけてもいいものかどうか準太は迷っ…

高瀬準太の欲しいもの②

「準太の喜びそうなもの?」 慎吾がもぐもぐとフライドチキンを咀嚼するのを見ながら、阿部は温かいココアを啜りこくんと頷いた。 「そのこと考えててあんな難しい顔しながら歩いてたの?」 慎吾と会ったのは偶然だった。利央と別れた後に信号待ち向かいの道…

高瀬準太の欲しいもの①

準太×阿部/準さんお誕生日話 阿部は悩んでいた。準太の誕生日が目前に迫っていたからだ。 いわゆる恋人同士になってから、阿部の誕生日とクリスマスと正月というイベントをこなしてきたものの、それらは全て準太のエスコートによるもので、どこに行くかも何…